【短】碧くんしか見てないよ
***
──どんっ
教室──。
わたしの不注意で、クラスの女の子にぶつかってしまった。
「こ、紺野さん…!ご、ごめんね…っ」
「いや、わたしが前見てなくて──」
って、走って行っちゃった女の子。
今のは、わたしが悪いのに、謝られちゃった。
いつも、こうなんだ。
自分の見た目のせいで、怖いイメージを持たれてる。
170センチあれば、そりゃ多少の圧力感もあるかもしれないけど、あんなあからさまに怖がられると、ショックだなあ…。
ただ表情豊かじゃないだけで、怒ってるわけじゃないのに。
それだけなら、まだしも。
男遊び激しい、なんて噂されている時期もあったし…。
まあ、中学のときから仲いいモモがいてくれるからいいんだけどね。
窓の外に目をやると、さきほどから雨がふっている。
今日は放課後、観に行けないな…残念。
そう考えながら、次の授業の準備を始めた。