【短】碧くんしか見てないよ
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「よおし!今日は行くよ、和華!」
昨日と打ってかわって、今日はかんかん晴れ。
モモは日焼け止めを塗りながら言った。
わたしも顔だけ塗っておこう。
「お、和華、見る気満々じゃん~!赤松先輩のこと気になり始めたあ~!?」
「ちがうって」
赤松先輩はたしかにかっこいいとは思うけど、全然心揺さぶられない。
碧くんのことは、まだモモには内緒。
意外って思われそうだし。
だって、わたしが今まで付き合ってきた相手は、わたしより絶対背が高かったし、顔立ちや中身も大人っぽい人ばかりだったから。
わたしひとり、碧くんのよさに気づいとけばいいんだ。
まあ、モモには感謝しなきゃ。
モモに付き添わなければ、わたしはきっと碧くんの存在さえ知らなかった。