【短】碧くんしか見てないよ


「っおい、碧大丈夫かー!?」


近くにいた仲間たちが、碧くんのまわりに集まっている。


碧くんが、後ろ向きに派手に転んだんだ。


練習試合でもないのに。放課後の練習で、あんな派手に転ぶことってあんまりないと思う。


碧くんはそれくらい、毎回の練習が全力なんだ。


それにしても、痛そう…ここからでも、右ひじから血が出ているのがよく見える。


「あの背の低い男の子、よく怪我してない?」


モモにふいにふられ、ドキッと心臓が音をたてる。


「あ、ああ、そうだね」


マネージャーが救急箱を用意してる。

マネージャーが、手当てするんだ…。


そう思ったけれど、碧くんはマネージャーとなにやら話したあと、グラウンドを離れた。


そして、校舎へと向かっている。


「っモモ、わたしちょっとトイレ行ってくる」


「ほーい」


わたしは急いでその場から移動した。


「和華、トイレはあっちの校舎が近い…ってもう行っちゃったし」

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