サヨナラの向こう側
麻美さんは優しく背中を撫でてくれた。

一人っ子だからわからないけどお姉ちゃんいたらこんな感じなのかな?


『あたし、麻美さんみたいなお姉ちゃん欲しかったなぁ…』

あたしがそう笑うと麻美さんはとても嬉しそうな顔をした。


『いいよ★あたしの事をお姉ちゃんだと思って♪』


その瞬間皆が吹き出した。

『麻美が“お姉ちゃん”って(笑)』


??何がそんなにおかしいの?

あたしと奈緒だけ理解出来ていなかった。

涼太さんですら笑いを堪えているようだった。


『ちょっとみんな!そんなに笑う事ないでしょ!』

麻美さんは隣で笑っていた高志さんの頭を叩いた。


『お前はお姉ちゃんじゃなくて“お兄ちゃん”だろ?』

直哉さんが笑いながら言った。


??

お姉ちゃんじゃなくてお兄ちゃん??


どういうこと??

意味が解らなくて麻美さんを見ると、少し困った顔をしていた。


『あたし…性別は男なの…』

頭を掻きながら麻美さんは言った。


え?男?

え??
こんなに綺麗なのに?


性別は男…見た目は女…。

ってことは…??


困惑したあたしをみて麻美さんは話してくれた。


『あたし身体だけ間違って生まれてきちゃって。男だけど…心は女の子なの。…ガッカリした?』


少し悲しそうな顔の麻美さんは、やっぱり綺麗で、女の子だった。


あたしは思い切り頭を横に振った。


『だって、麻美さんは麻美さんだもん!』



< 16 / 21 >

この作品をシェア

pagetop