たったひとつの願い
「おはよう」声をかけてみるが誰からも返事はない。
いつもの事だ。私は自分に言い聞かせた。

私へのいじめは6月頃から始まった。
いつも通り登校し元気よく声をかけたが、周りの様子がおかしい事に気付いた。
私はすぐに分かってしまった。[私の番が来た。]と。
小学生くらいから、いじめは始まる。
自分はいじめられたくないから口をつぐむその他大勢の生徒。自分の優位を守るためいじめを積極的にする主犯。
私も今まではその他大勢だった。
なのに、今回は私がターゲットだった。

そこからは地獄の日々。
毎日のように物は無くなり、ゴミ箱から見つけた。
上靴だって、靴だって、置いておいたら最後画鋲が入っていたり、ゴミが入っていたりする。

家族に訴えれば良いのでは?と思う人もいるかもしれない。
でも、家族でも私は1人だった。
私は父の連れ子で今の母は私の本当の母では無いのだ。
その後父と母には子供が生まれた。
母は実の子しか愛せなかった。
気付いたら家に私の居場所は無くなっていた。

友達だけが私の心の拠り所だった。
それすらも失った私に何も残っていなかった。
私はふとカッターを手に持っていた。
そして、自分の手首に押し当てていた。
そこからは、毎日自傷行為をした。
自分の中からでる赤はとても綺麗に見えた。
自分の中に、こんなに綺麗なものがあるということだけで、生きていける気がした。

しかし、そんなの自己満足は長くは続かなかった。
何時しか、自分の生きる意味を見出せなくなってしまっていた。
何をしていても死にたいと思うようになってしまっていた。

そして今、私は学校の屋上に立っている。
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