御影第一高校の昼休み
「あれじゃねぇ?」

カフェオレを飲み干したらしい。

ずぞぞぞ、と音を立てて、友人はストローを口から放した。

「御影城跡に出るって言う霊の呪い!」

「また言い出した…」

呆れた顔でタコさんウインナーを口に入れる。

オカルト研究会なんて所属している奴は、皆こんな思考なんだろうか。

「ファミレスや建設現場と、御影城跡が何キロ離れてると思ってんだよ」

「関係ねぇよ、霊の力を侮っちゃいけねぇぞ?」

ズズイと顔を寄せてくる友人。

近づくな、むさ苦しい。

「御影市の郊外じゃ、猟奇殺人事件も起こってるっていうし。知ってるか?ニュースでやってただろ?人間の手首や足首が、道端に…」

「食事中にそんな話するな!」

友人の頭をパシッとはたき、僕は弁当箱の蓋を閉じた。

食欲が失せた。

彼女には、食べ残した言い訳を考えておかないと。

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