君に、誓いのキスを。
1
宇宙人
ジリジリジリ……ガチャ。
時計の針は午前6時。
カーテンの隙間から漏れる朝日が心地いい。
今日は入学式だ。
叶実は、伸びをしてベットから起き上がり、朝食の準備を始めた。
「行ってきます。」
返事、返って来る訳じゃないけどね。
今日から高校生。あんまり目立たないで終わりたいな。
高校へ向かっている途中、「桜、綺麗だなぁ」なんて呑気に上を見上げていたら、人にぶつかってしまった。
「す、すみません。」
「かな……いや、大丈夫だよ。」
同じ制服のイケメンだ。
泣きそうな顔をしているけど、そんなに強く当たったかな。
「俺たち、同じクラスだよ。」なんて少し俯きながら呟いたあと、彼は走って行ってしまった。
「変な人。クラスなんてまだ発表されてないのに」
入学式は長く、退屈だった。
クラスを確認して、教室に入る。
私の席は1番奥の角。そして、その隣には
「ほらね、同じクラス。しかもお隣さん!」
朝会った変なイケメンがいた。
「あの…なんでクラス一緒って…知ってたんですか。」
なんて、ただの偶然だと思うけどね。
「あー…俺、宇宙人だからな!」
わははと笑いながら彼は私にそう言った。
「俺、茂木圭介。よろしく!岡田叶実ちゃん!」
名前なんて、教えたっけ。と思いながら
彼に対して不思議な魅力を感じた。
ほんとに宇宙人なのかな。
そんな嘘、信じるわけではないけどね。