ハル色に染まるるを…

と、その時会社の電話が鳴る。
林田先生がビクッと手を退けた。

震える手で私は、電話を取った。

「はい、EV会計事務所、本間でございます。」

恐怖で声まで震えてしまう。


「あ、本間さん？まだいたの？」

松田さんだった。


「はい…」


「どうしたの？声震えてるよ。
他に誰かいる？」

松田さんが優しい声で心配してくれた。

「は、林田先生…がいます。」

私は、さっきより声を震わせて答えた。

「二人だけ？林田先生にかわってくれる？
本間先生、早く帰った方がいいですよ。」


私は林田先生に電話を渡し、
その隙に必死で会社をあとにした。


はぁ…っと、ため息をつく。

怖かった。
電話がかかっていなかったら…

そう思うと足がガクガク震えた。
明日からどうしよう…


私は不安に思いながら、帰途についた。