ハル色に染まるるを…


「お電話かわりました。本間です。」


自分の席に戻り電話に出る私。


「あ、お世話になります。
高梨機工 経理部の真鍋です〜。」


真鍋さん!!

良かった、声戻ってる!


「あ!お世話になります。
真鍋さんお風邪治ったんですね!
良かった…」


すると、彼女から思いもしない答えが
返ってきた。

「…え?風邪ですか〜?」


驚いて戸惑っているような口調だった。

私は、なぜ彼女がそんな反応を
するのか分からず更に言葉を続けた。

「え?えぇ。この前お電話頂いた時
そんな話をしたような…」

…え?私の記憶違い?

戸惑ったままの真鍋さんの反応に
これはまずいと思った。

「すみません、私、忙しくて
どなたかと勘違いして記憶してたかも
しれません。失礼しました!」

私は慌てて謝罪した。


…え?でもあの時って確か…
松田さんが来てて。


???


あああ、いまは考えるのやめよう!


「いえいえ〜。お忙しそうですものね〜。
先日資料お預かりしまして……

誤魔化して、何とか業務の話へと進んだ。

真鍋さんとの電話が終わると、
私の頭の中は、はてなマークでいっぱいだった。
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