ハル色に染まるるを…
おだやかな休日の朝。
私はひとり慌ただしく、
カバンを二つも持って家を出る。
向かう先はもちろん……
「ハルく〜ん!」
ハルくんの家。
私を見るなりハルくんは、
明らかにギョッと顔をしかめた。
…視線は、私の荷物。
大きく膨らんだカバン。
「…ファッションショーなら
見ないぞー……帰れーー。」
死んだ魚のような目をして
一本調子で、気怠げに
そう言い放つハルくん。
この男!!
荷物を見ただけで
用件を素早く察知したわね!
…すごい観察力。
「もう!まだ何も言ってないじゃん!」
ドアを閉めようとするハルくんを
必死で制止しながら、入り込む。
「だって、見えてんだもん。
で、どこに着てくの。」
何だかんだ言いながら、
見てくれるらしい。
…優しい。
「なんかね、私のこと
尊敬してるっていう後輩と
ご飯に行くの!!
初めて会うんだ〜。」
嬉しそうに話す私に、ハルくんが
また、顔をしかめた。