ハル色に染まるるを…


椅子から飛び上がりそうな
花楓ちゃんを収めつつ、
LIMEの交換をしていた。

すると、横からもう一台
ニュッとスマホが現れる。


「私ともLIMEしてくださる?」


え、松田さんのお母さん!?


まさかの申し出に
戸惑う。


……いや、でも
断るのはおかしいよね。


「はい。交換しましょう!」


私の答えを聞いて、
松田さんのお母さんは
とても嬉しそうに笑った。


「良かった〜。私、実は
ちょっとした起業を考えてて。
相談に乗ってくださる?」


!!!


え!?


顧客獲得のチャンスが
こんなところに。


思いがけない話に
私は胸を躍らせた。


「はい!私でよければ是非。
まだ、税理士としてのアドバイスは
出来ないのですが
税理士法人としては、お伝え出来ます!」


「助かるわ。あ、私のことは
名前で呼んでね♪祐子って言うから。」


お上品に微笑むお母様。


……祐子さんって云うんだ。


同性ながら、見惚れそうなくらい。


結局、この日は松田家の
美形ぶりに、目が慣れないまま
食事会は幕を閉じた。

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