ハル色に染まるるを…


「何でもありませんです!」

「そうですか。じゃあ、僕の勘違いってことで。」

「あははっ。はい。」


なんとか誤魔化せた?




ーーcall♫〜call♫〜


「あ!ちょっと電話すみません!」


…わざとらしかったかも。



だめだ、私つくづく演技に向いていない。
金輪際こんな事はやめよう……


始めた事を後悔しながら店の外へ向かい
ハルくんからの電話に出た。


「何企んでるのかな、大根役者さん。」
 
電話を取るなり、勘のいいハルくんに
そう言われた……


「うぅ。いま才能の無さに気付いて
後悔してたとこだから言わないで〜!
ちょっと友達の恋を応援したかっただけ。
この電話が終わったら用事があるって言って
帰る予定なの。」

「あ、そぅ〜。あんまり何々の用事で〜とか
細かく説明しないようにねー。自滅するぞ、大根役者。
あと、会計忘れんなよ。」

「あ、わ、わ。」

危ない…忘れるところだった……

ほんとハルくんは、なんでいつも
こんなに冷静なんだろ。

羨ましいかぎりだ!

「図星だな、慣れないことするなよ。
迎えに行くから待ってな。どこにいる?」

「会社の裏通りにあるカフェにいる。
ありがと、ハルくん。」

「ふっ。世話の焼ける妹さんだからな。」

妹ね……その言葉は言わないでほしいよ、ハルくん。


最後の最後でテンションダウンして
電話を終えると私は、一旦店に戻った。



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