ハル色に染まるるを…


「あ、春の匂い。」


鼻の中に残る桜の香りが心地よい。


少しリラックスできた、と思ったら
すぐにまた、お腹の奥がチリチリと
緊張の踊りを始めてしまった。



いつもストレスには一番に反応してくれる
私の胃。


「お腹ちゃん、暴れないで〜」


変な独り言を言いながら
相棒の胃薬を握り締め、カツカツと歩き出す。



気がつくと、職場の前だった。


「ヨシッ!」と、表情を作り
私は、扉に手を掛けた。

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