ハル色に染まるるを…
「新入生テストで1番?この子が?
カンニングしたんじゃないの。」
家族同士でハルくんと仲の良かった私は
ハルくんファンに疎まれ意地悪を言われた。
「あの…私は、そんなこと…」
つい数カ月前まで小学生だった
チビっ子が、派手な女子高生に
大人げもなく詰め寄られているのだ。
当然のごとく、私は
ビビって答えあぐねていた。
…そこへ、救世主が現れる。
「能ある鷹は爪を隠すんだよ。な〜、ゆい。
インテリぶって気取るより
全然いいと思わない?」
ハルくんが庇ってくれたのだ。
憧れの本人に諌められた
お姉さんは
そそくさと帰っていった。
「は、ハルくん!ありがとう!」
結構な恐怖から救われた私には、
彼が一段と輝いて見えた。
「んー?ゆい。
テスト頑張ったからな!
凄いぞ、それでこそ俺の"妹"!」
そう言って笑うとハルくんは、
私の頭を撫でた。
悪戯っ子なイメージのハルくんが
助けてくれたという
意外性もあったかもしれないけど。
とにかくその日から
彼の印象はガラリと変わった。
事あるごとに彼は
私のヒーローであり続けた。
いつも優しくて正しいハルくん。
いつも助けてくれるハルくん。
成長するにつれ、彼の良さがどんどん見えて
私は底なしの片想いへと突き進んだ。