ハル色に染まるるを…
ーー帰りの車の中。
ふと、川島先生に聞いてみた。
「先生!あの、松田さんってどんな方です?」
急に感じた言いようのない
危機感と嫌悪感の正体を突き止めるべく
探りを入れる。
今まで何度か感じた事があったけど
決まって、"悪い人"だった。
でも松田さんは悪い人に見えない…
だから余計に気味が悪く感じたのだ。
「え?マツですか?イイやつですよ、すごく。」
なぜ、そんなことを聞くのかとでも
言いたげに不思議そうに答えてくれる川島先生。
それでも、もう少し情報がほしかった私は
更に聞いた。
「そうですか。…と見せかけて、裏があるとかは?」
「いやいや。全然。面倒よくて、成績も良くて、
人気も、人望もある。おまけにスポーツ万能でね。
高校でも大学でもサッカー部のキャプテンでしたよ。」
良い情報しかない…か。
やっぱり私の思い過ごしなのかな。
「…そう、ですか。(私の勘違いかな…)」
状況に合わない落胆した声色な私の返答を聞いて
更に不思議そうな様子の川島先生。
「マツが、どうかしたんですか?」
川島先生の少し怪訝そうな声に、
ハッと我にかえる。