ハル色に染まるるを…


3月。

そろそろ春の足音が聞こえてくる頃。


大学の卒業式を終え、
私は実家の部屋にいる。


「ねぇ、ハルくん!」



実家を出るための荷造りを
手伝ってくれる
ハルくんに声をかけた。


「なんだ?…あ、それ!」


私が手に持っている物を見て
懐かしそうなハルくん。


片付け中に、見つけた
"ヒーローコレクション"の箱から
引っ張り出したソレは

私とハルくんにとって
多分、忘れられないもの。


「このとき、ハルくん
ほんとカッコよかった〜!」


物思いにふけっていると
ハルくんに抗議されてしまった。


「おいおい、あれを美談にするな!
無事だったから良いものの。
捨てなさい、こんな使えないモノ〜。」


ハルくんは、そう言うと私の手から
ソレを引ったくっる。

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