ハル色に染まるるを…



その夜、マツから
久しぶりにLIMEが来た。

【昼間はどーも!!
本間ゆいちゃん良い子だね。
俺のこと、何か言ってた?】

マツにそう聞かれ、僕は帰りの車内の事を思い出した。
あれは、確実にマツに気がある。

そう思い、本間先生の帰りの様子をマツに伝えた。
マツはかなり喜んでいるようだった。


その日以降、あまり音沙汰のなかった
マツから頻繁に連絡が来るようになった。

本間先生について、
根掘り葉掘り聞いてくるところを見ると
マツも本間先生を相当気に入ったのだろう。

美男美女でお似合いだと思った。


僕には、叶わない恋でもマツには違うのか。

芽生えかけた恋心が折れたことよりも
いつになく僕を頼るマツが嬉しくて
マツへの協力を約束した。

「お前、やっぱり頼れる男だわ!
持つべき友達は、川島結冬だな!」

そう言われ、悪い気のする男はいない。

頼まれるがままに、本間先生のLIMEを
教えてしまった。


自分が、彼女の気持ちを
勘違いしていることに気づかないまま。

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