ハル色に染まるるを…



「ハルくん、あの時は
ほんとにありがとう。」


思い返すと、改めて感謝の気持ちが
湧き上がってくる。

私はハルくんに思わず
深々と頭を下げた。



「全く。世話の焼ける"妹"ですね〜。
これからも水難事故には
気をつけることよ。」


冗談ぽく茶化すハルくん。

"妹"と言われてしまったことに
内心傷付きながらも…


私は、真面目な顔で言った。


「気をつけるよ。だからこれは
記念に警告として!」


そう言って、水着を仕舞う。

捨てようとしない私に
呆れた様子のハルくんは
諦めたようにこう言った。


「ま、ゆいはそうしないと忘れそうだな。
逆方向の電車に間違って乗って
戻ろうとして余計に遠ざかる電車乗るような
ヤバイやつだもんな〜。」

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