ハル色に染まるるを…
「あぁあ!本間先生いいですよ。
この後出られるんですよね?
置いたままでいいですよ、重そうですし。
そうしたら、直接出られるじゃないですか。」
そう言って笑う松田さん。
たしかに…そう言って頂けるとありがたい。
べつに中に他の顧問先の資料が
ある訳でもないし問題はない。
あるのは私物と勉強道具ばかりだ。
…甘えよう。
「それじゃ、お言葉に甘えて…
すみません。ありがとうございます。」
私は松田さんのご厚意に甘え、
資料だけを持って部屋を出た。
応接室は、1階の入り口近くにあるから、
2階の事務所へまた鞄を取りに戻って
出るのは手間だし、正直助かった。
それにしても、すごく気遣いのできる人だな。
ま、ハルくんには敵わないけど。
私は急いで、お渡しする資料を取り、
応接室に戻ろうとした。