ハル色に染まるるを…


「あぁあ!本間先生いいですよ。
この後出られるんですよね?
置いたままでいいですよ、重そうですし。
そうしたら、直接出られるじゃないですか。」


そう言って笑う松田さん。
たしかに…そう言って頂けるとありがたい。

べつに中に他の顧問先の資料が
ある訳でもないし問題はない。

あるのは私物と勉強道具ばかりだ。

…甘えよう。

「それじゃ、お言葉に甘えて…
すみません。ありがとうございます。」

私は松田さんのご厚意に甘え、
資料だけを持って部屋を出た。


応接室は、1階の入り口近くにあるから、
2階の事務所へまた鞄を取りに戻って
出るのは手間だし、正直助かった。


それにしても、すごく気遣いのできる人だな。

ま、ハルくんには敵わないけど。


私は急いで、お渡しする資料を取り、
応接室に戻ろうとした。

< 90 / 161 >

この作品をシェア

pagetop