ハル色に染まるるを…


「すみません!お待たせしました。」

部屋に戻ると松田さんは、
応接室にある壁掛けを見ていたのか
私が座っていた側に立っていた。

「全然待ってませんよ。」


笑顔で、答える松田さん。


「ちょうど高梨機工さんからお電話がありまして。
真鍋さん、お風邪大変そうですね。」


すると、松田さんが一瞬
驚いたような顔をした。


「え?あ、あぁ。そうみたいですね。
鼻声で。」


鼻声?
掠れ声だったけど…

??


ま、いっか。


「あ、資料お渡しすることも伝えておきました。
よろしくお願いします。」


「分かりました。お預かりしますね。」


松田さんが、資料を受け取り
カバンへ入れる。

「よろしくお願いします。」

私が頭を下げると、松田さんが
また話し掛けてきた。


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