いつだって恋は雨模様
放課後にまず部活動を、見学をしているとは知らなかった。

雫ちゃんも知らなかったようで、

少林寺拳法行ってくる!といって、いなくなった。

「...菅谷くんは、もう軽音楽部に入ることに決めたの?」

突然私から話しかけたから、うーんと頭を悩ませていた。

「俺、あんまり頭よくなくて、この学校結構進学校でしょ?

だから、割とギリギリではいったんだよね。

それから部活どうしよって思って、

昔から歌が得意だったから、自分の声で喜んでくれる人が出来る軽音楽って素敵だなと思って、

軽音楽部を見学しにいったんだ。

それぞれが別々の練習をしていて、どんな感じなんだろうと思った。

そのあとに、リーダーらしいひとが『合わせるぞー』と

いって、ドラムの人が121234とたたいたあとに、

俺は一瞬、世界が止まったように見えた。

聞いてほしい。

楽しんでほしい。

そんな願いが音楽のエネルギーから聴こえてきた。

それで俺は、この一員になりたいと思ったんだ。

ごめん、長々と話して」

「いや、全然大丈夫だよ。むしろ楽しかった」

「でさっ!」

菅谷くんの足が止まる。

謎の緊張感が二人を包む。

「俺がボーカルやるから、桃井さんにはキーボードをやってほしいんだ」
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