いつだって恋は雨模様
ちらっと隣に目を向けると、

目があってしまって、とっさにそらしてしまった。

話しかけなきゃと、心臓がドキドキと脈を打つ。

「桃井...さん?だよね?」

突然隣から話しかけられて、横を向く。

名札には、菅野(すがや)と書いてあった。

「はい、そうです。桃井です。あっ...」

はい、そうです。桃井です。って文章おかしくないかと

恥ずかしくなって顔が赤くなる。

「突然だけど、桃井さんって、10光年に1人の美人って言われているよね?」

頭にはてなマークが浮かぶ。

全く言われた覚えもないし、記憶もない。

「それは、私じゃないと思います」

そういうと、菅野くんはとっさにスマホを取り出して、

ほらと私に液晶画面をこれ以上ないくらいに近づけた。

見せられた写真は、アニメのサイン会があったときに、

道に迷っていた場面の写真だった。

「これは私ですけど、この写真がなにか...?」

そういうと、何故か顔を真っ赤にさせた菅野くんが

驚いた表情でこちらを見る。

「このテレビで1.3秒うつった桃井さんが、

今ネットで拡散されて、10光年に1人の美人って騒がれてるんだよ!!」

「え?」
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