10日間彼氏
違う、違う、そんなはずないよ。

私は心の中で、往生際悪く否定していた。

だけど、この後に美里が言った言葉が決定的なものだった。

「美術の先生なんだってー、あんなイケメンが絵とか描いたらやばくない?ね、奈緒もタイプでしょ?王子様みたいだったよー。奈緒をお姫様抱っこした時なんて、キャーって感じで」

青ざめた私は、もう一度ベッドに顔を埋めた。

「え、どうしたの?奈緒、なーおっ、大丈夫?」

デートしてる時、少しの合間があれば、彼はメモ帳になにかをデッサンするように描いていた。

「うそだ」

小さく呟いた私は、頭が混乱していて全然整理できなかった。
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