10日間彼氏
明るく言うと、彼は怪訝そうに私を見る。

「僕は、引っ越しするなんて、一言も言ってないよ。そっちが勘違いしただけだから」

顔色ひとつ変えず、そっけない静かな口調の彼は、昼間美術室で見た森沢先生の表情をしている。

「そ、そうだけど」

彼に小馬鹿にされたような気がして、少し腹が立ちかけた。

でも、私が勘違いしているのをわかっていて、何にも言ってくれなかったわけだよね。

積極的にではないにしろ、明らかに、騙すつもりだったんじゃないのかな。

「どうする?僕とのことは、もう辞める?」
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