10日間彼氏
鞄を持って、バッと走って勢いよく喫茶店を飛び出した。

外は雨が、激しく降り出していた。

傘を忘れたことに気がついたけれど、もう戻りたくなかった。

雨に濡れているのに、そんな感覚すら鈍くなりながら、トボトボ歩いていた。

雨が染み込んできて体が冷たい。

だけど、急に自分のまわりだけ雨がやんだ。見上げると黒い傘が雨から私を守ってくれている。

「傘持ってって。返さないでもいいから」

振り返ると、追いかけてきた青くんが自分の傘を私にさしてくれている。
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