10日間彼氏
その後も、彼は熱心に1人1人の生徒に話しかけていた。

青くん、凄く楽しそう、あんな表情するんだね。

私も、彼の様子を見て、自然と口元がほころんでいた。

ああ、なんて綺麗なんだろう。

生徒達に向ける彼の心からの笑顔が、5月の日差しに照らされてとても、とても眩しく、心から美しいと思った。

(桃ちゃん、僕は教師になるつもりだよ。ずっと前から決めていたことだから)

彼の将来の夢が、形になっていこうとしているんだ。
今この瞬間、私は胸が一杯になり、なぜだか涙が溢れそうになる。

悲しいからじゃなくて、なぜだかそんな彼の幸せそうな姿を見て、嬉しくて素直に、感動したからかもしれない。

青くん、頑張ってね。

心の中でそう呟いて、私はグラウンドに戻っていった。


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