10日間彼氏
「それ、なんですか?なにか描いてたんですか?」

「ああ、ラクガキだよ」

「ラクガキ?マンガとか?」

「うん、まあね。なにか飲む?ここケーキもあるよ」

ごまかすように、ケーキのメニューを私に見せて、彼はニコニコしている。

その彼を見て、私も顔をほころばせる。

「どうかした?」

私があんまり嬉しそうに彼を見つめるので、苦笑されてしまう。

「だって、ちゃんと待っててくれたから。昨日お付き合いしてくれるって言ってくれたのが本当だったんだって思うと嬉しくて」

「なんだ、そんなことか」

こともなげに言う彼は、窮屈そうにネクタイを緩めた。

その仕草がなんだか大人っぽくて、また私はドキドキしてしまう。

「だってまだ信じられなくて」
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