10日間彼氏
思わず叫んでいた。

曲がり角を曲がったら、彼の姿が見えなくて絶望感に襲われた。

ズザザーッ

「きゃっ、いったーい」

私は勢いあまって転んでしまった。

両膝が熱くて痛くて、立ち上がれない。

それに、彼にまたこうして今日も逃げられてしまったことが悲しくてたまらない。

ああ、どうして彼は私からいつも逃げてしまうのでしょうか。

胸がつまってきて、鼻の奥がツンとする。

グスッ

少しでも動いたら、瞳に溜まった涙が溢れ出しそうだ。

うう、悲しいよぉ。

「うわー、派手に転んだね」

今にも泣き出しそうなその時、ふいに後ろから優しいが、ため息交じりの声がした。
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