10日間彼氏
彼にお釣りを渡してもらう時に手が少し触れ合うだけで、ドキドキしてもうそれだけで、私は満足だった。

名前もわからない。

彼だけはなぜだか、いつもネームプレートをつけていなかったから。



「青くん」



本当の彼の名前でもないのに、私はその名を呟くだけで、胸が高鳴る。

コンビニで、接客してくれた彼の笑顔が目に浮かぶ。

その姿は、青くんにそっくりだった。

あなたなの?青くん。

1週間前に、学校帰りに彼を初めて見た時、あのコンビニの店員さんだってそう思って、夢中で追いかけた。

コンビニの彼の方が、髪の色が明るめで少し前髪も長くて片耳に小さいピアスをしていた。

雰囲気は、今時風のお洒落男子という感じで少し華やかすぎる人だった。
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