10日間彼氏
涙が出そうになりながら、ドボドボ駅前を歩いていたら、幻聴が聞こえてきた。

「桃ちゃーん」

まさか、そんなわけないよね。

「おーい、桃ー」

後ろから肩を掴まれてビックリして思わず、悲鳴をあげた。

「キャッー」

「わー、僕だよ、桃ちゃん」

振り返ると、焦った様な青くんがキョロキョロして周りを気にしている。

彼はいつもの、キッチリしたネクタイにカッターシャツではなくて、パーカーにデニムというラフな格好で、メガネをかけている。

ふと思い出して彼の耳を見たら、ピアスの穴を開けたような跡が確かにあり、ドキッとする。

ますます、青くんが、コンビニの彼と結びつく。

「そんな声出したら、変に思われるだろ」
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