10日間彼氏
手芸部だけどたいして器用ってわけじゃない。

「うん、結構難しくて。でも、思いを込めて針を突いてると楽しいよ」

まだ、小鳥の形が完成していない不恰好な羊毛の塊を彼に見せた。

「想いってなんの?」

「アイ、とか」

「ハハ、重いなー、それ」

笑いながら、軽くかわされてしまう私の想い。

「いいでしょ。別に」

彼に笑われて恥ずかしくなって、そそくさと作りかけの作品をカバンにしまった。

バカなこと、言ったと思って少し恥ずかしい。

「いいけど、別に」

彼は優しく笑って、小さなため息をつく。
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