10日間彼氏
食い下がる私を、いつものように軽く受け流し彼はフッと笑う。

「それに・・・まあ、いいや」

彼は何か言おうとしたけれど、すぐに黙るとさっさと会計のレジの方へ行ってしまった。

私は雑誌や針等を片付けて、彼の後を追って店をでた。

「ありがとう。ごちそう様です」

「いや」

「あの、バイトってどこの?」

彼は私を見下ろして、ニッと笑い、やはりその質問には答えてくれない。

代わりに、頭を撫でられたので勝手に私の口元は緩んでしまう。

「もうっ」

拗ねたように、頬を膨らませてみせると、今度はその頬を撫でられる。
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