10日間彼氏
いつか、彼にも好きって言って欲しいけど、あと4日間しかないのに、言ってもらえるんだろうか。

多分無理だよね、それは。

「もう、行かないと」

喫茶店の扉を出たところで立ち止まっていたので、彼を促したけれど、黙ったまま何も言ってくれない。

「あ、あの今日ブレザーをかけてくれたでしょ?これ、ありがとう」

沈黙に耐えられず、ブレザーを彼に手渡した。

外はもう真っ暗で、5月というのに少し肌寒かったので、彼はそれを羽織る。

ネクタイははずしていたけれど、カッチリとしたスーツ姿になると、より大人っぽさが増して、カッコいい。

< 87 / 224 >

この作品をシェア

pagetop