君と過ごした冬を、鮮明に憶えていた。
「お風呂、どうする?先入る?」
部屋に着き、先程の失言から5分程経った時だった。開口一番にそう言う母さんに、私は先どうぞと返す。
「ああ、そう?ありがとう」
言うなり脱衣所に向かった母さん。
部屋には、シングルベッドが二つと、ソファ、テレビがあった。白で統一された家具は、どこか、寂しそうに見えた。
ふと窓に目をやると、外は真っ赤だった。何故気が付かなかったのかと自問自答したくなるくらいの色の濃さだった。吸い込まれるように、大きな窓の方へ向かう。ガラスにそっと手を添える。触れた瞬間に、ひやりとする。次第に、触れたところから熱が奪われていくかのように、座り込む。
「.........これから、どうしよう」
消え入るような声で言う。いや、言うというよりは、落ちたという方が正しいだろう。
そんな独り言も、白い部屋の中では虚しく消えていくだけ。
「......」
沈黙。
数秒だったのかもしれない。数分だったかもしれない。でも、ずっとそこにいた気がする。
部屋に着き、先程の失言から5分程経った時だった。開口一番にそう言う母さんに、私は先どうぞと返す。
「ああ、そう?ありがとう」
言うなり脱衣所に向かった母さん。
部屋には、シングルベッドが二つと、ソファ、テレビがあった。白で統一された家具は、どこか、寂しそうに見えた。
ふと窓に目をやると、外は真っ赤だった。何故気が付かなかったのかと自問自答したくなるくらいの色の濃さだった。吸い込まれるように、大きな窓の方へ向かう。ガラスにそっと手を添える。触れた瞬間に、ひやりとする。次第に、触れたところから熱が奪われていくかのように、座り込む。
「.........これから、どうしよう」
消え入るような声で言う。いや、言うというよりは、落ちたという方が正しいだろう。
そんな独り言も、白い部屋の中では虚しく消えていくだけ。
「......」
沈黙。
数秒だったのかもしれない。数分だったかもしれない。でも、ずっとそこにいた気がする。