お酒はハタチになってから
「渚さんも呑みすぎたらだめだよ」

「わーってます」

それこそうんざりした顔で言うと、彼は苦笑した。
彼は時々、私を子ども扱いする。
不思議と嫌な感じがしないのは、彼と同じ年だった頃の自分を思い出しても今の自分を振り返っても、彼は私にとって充分大人に見えるからだろう。
情けないことだけど。

食事が終わっても、彼は店の裏手にあるらしい自宅に戻ることもなく私の目の前の席に座り続ける。綺麗な横顔をこちらに向けて店内をぼんやりと眺めている。
私はちょこちょことお酒を呑みながら、おいしいおつまみを堪能する。
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