お酒はハタチになってから
***

「送る」

お会計を済ませて外に出たところで、彼が追いかけるように古い引き戸を開けて出てくる。
ベージュのダウンに袖を通しながら、私の隣に並んだ。
これも、毎週のことだ。

呑んでいなければ意地でもやめさせるだろう、と思う。(翌日思い出す度に、これではダメだと後悔するのだから)
けれど私は黙って歩き出す。

ほどよく気持ち良くなった脳みそは、毎回正常な思考を放棄してしまうのだ。

「また寒くなった」

「今年は雪降るかな」

はー、と息を吐くと白くなる。
11月になってぐっと寒くなった空気は、細かい針が肌に刺さるように鋭くなっていた。

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