Snow Doll ~離れていても君を~
「ケイは料理が得意でしょ、夕食も作ってくれるみたいなの」
「如月さんの了解が得られているなら問題ない」
海里は意外にもあっさりと承諾した。
本当は、私と二人きりになるのは気まずかった?
すでに私の気持ち──彼のことが気になっているのがバレていて、迷惑だったとか?
漂う緊張感に耐えきれず、自分が借りている部屋へ逃げ込もうと踵を返したら、後ろから手首をつかまれ体がくるりと回る。
思わず後ずさるけれど、背中がリビングの壁にぶつかってしまい逃げ場を失う。
「どうして逃げる?」
からかう様子もなく海里が訊く。
真っ直ぐ見つめられ、心臓がドクドクと音を立てる。
私の顔のすぐ横に片手をついてきたので、檻に閉じ込められた気分になる。
「俺の気持ちが迷惑なら、これからは必要以上の話はしないし、あんたに一切触れない」
「海里の、気持ち……?」
声が掠れる。
海里は私のことをどう思っているんだろう。
でも、それよりも。
何だか、私の気持ちを誤解している?
別に海里のことが嫌だからケイを呼んだわけではないのに。