Snow Doll ~離れていても君を~
「迷惑とかじゃなくて。海里といると……ドキドキするの。だから、どうしたらいいか、わからなくて」
「え……」
海里が戸惑った顔をして目をそらす。
この気持ちの正体が何なのか、まだはっきりしない。
モデルみたいに整った容姿だからドキドキするのか。
憧れているから緊張してしまうのか。
それとも……。
「そういえば。この前、ドライヤーかけてくれたとき。何か言いかけてなかった?」
とにかく話題を変えようとするものの、逆効果だったようで。
「さあ……忘れた」
ますます眉をひそめ不機嫌な顔つきになっていく。
なのに至近距離は変わらないままで。
壁に手をついていない方の手で、肩に流れる私の髪をすく。
ケイ、早く来て。心臓が壊れそうだよ……。
その願いもむなしく、そういえばケイは荷造りに時間がかかる人だったと思い出す。
着替えも含めて、あと30分は来ないかも。
「やっぱり、いつまでも私がいたら迷惑だよね。私、あの家に帰ることにする」