Snow Doll ~離れていても君を~
「優希奈。最近キレイになったなあと思ってて。その理由を考えてたの。如月先輩とは何もないみたいだし。だとしたら、一番近くにいる人って──」
「ちょっと待って。私、そんなにわかりやすかった?」
「かなりね。優希奈はいいなぁ、好きな人がいて。私なんて好きな人すらいないわ」
「好きって……、まだわからないし」
「そうなの?」
熱くなった頬を押さえたとき、不機嫌な低い声が落ちてくる。
「お前ら。何、コソコソ隠れてるんだよ」
「わー、海里に見つかった」
小野寺君がわざとらしく首を縮める。
「最初からそこにいるの気づいてたし。しかも、何で相原さん達までいるの?」
ポケットに片手を入れた海里は、呆れた顔をして私達の横を通り過ぎようとする。
私を苗字で呼んだのは、絵瑠ちゃんが一緒にいたからかもしれない。
絵瑠ちゃんには、同居していることまでは教えていないから。たぶん、小野寺君達も知らないはず。
そんなことが知られたら、きっと学年中に広まりそうだ。