Snow Doll ~離れていても君を~

「優希奈。最近キレイになったなあと思ってて。その理由を考えてたの。如月先輩とは何もないみたいだし。だとしたら、一番近くにいる人って──」

「ちょっと待って。私、そんなにわかりやすかった?」

「かなりね。優希奈はいいなぁ、好きな人がいて。私なんて好きな人すらいないわ」

「好きって……、まだわからないし」

「そうなの?」


熱くなった頬を押さえたとき、不機嫌な低い声が落ちてくる。


「お前ら。何、コソコソ隠れてるんだよ」

「わー、海里に見つかった」


小野寺君がわざとらしく首を縮める。


「最初からそこにいるの気づいてたし。しかも、何で相原さん達までいるの?」


ポケットに片手を入れた海里は、呆れた顔をして私達の横を通り過ぎようとする。


私を苗字で呼んだのは、絵瑠ちゃんが一緒にいたからかもしれない。

絵瑠ちゃんには、同居していることまでは教えていないから。たぶん、小野寺君達も知らないはず。

そんなことが知られたら、きっと学年中に広まりそうだ。
< 117 / 268 >

この作品をシェア

pagetop