Snow Doll ~離れていても君を~
*
次の日、海里は数学の先生に注意されたとおり、白シャツに藤色のネクタイを締めて登校していた。
見慣れない姿が新鮮で、何度も視線が吸い寄せられる。
注意されたのは初めてではないのに、どうして急に校則を守る気になったのだろう。
放課後は久しぶりに同好会の部屋に寄った。
人はあまりいなくて、奥の窓際で海里と如月先輩が向かい合いチェスをしている。
如月先輩は透明、海里は淡い水色のクリスタルの駒で対戦中。
海里は首元が苦しくなってきたのか、片手でタイを緩めた。
その仕草に見惚れていると、不意に彼がこちらを向いてくる。
見惚れていたことがバレないよう、慌てて私は言葉を探す。
「あ、海里。そのシャツも似合うね。すごく新鮮」
「……指定のシャツなんだから、似合うも何もないよな」
私から目をそらし、海里はチェスの駒を一つ進めた。
すると如月先輩が不敵に笑う。
「チェックメイトだ、海里。優希奈が来てから急に弱くなったな。集中できないのか?」
「っ、別にそういうわけでは」
「それに、いつの間に呼び捨てをする仲になったんだ? さすがに妬けるぞ」
次の日、海里は数学の先生に注意されたとおり、白シャツに藤色のネクタイを締めて登校していた。
見慣れない姿が新鮮で、何度も視線が吸い寄せられる。
注意されたのは初めてではないのに、どうして急に校則を守る気になったのだろう。
放課後は久しぶりに同好会の部屋に寄った。
人はあまりいなくて、奥の窓際で海里と如月先輩が向かい合いチェスをしている。
如月先輩は透明、海里は淡い水色のクリスタルの駒で対戦中。
海里は首元が苦しくなってきたのか、片手でタイを緩めた。
その仕草に見惚れていると、不意に彼がこちらを向いてくる。
見惚れていたことがバレないよう、慌てて私は言葉を探す。
「あ、海里。そのシャツも似合うね。すごく新鮮」
「……指定のシャツなんだから、似合うも何もないよな」
私から目をそらし、海里はチェスの駒を一つ進めた。
すると如月先輩が不敵に笑う。
「チェックメイトだ、海里。優希奈が来てから急に弱くなったな。集中できないのか?」
「っ、別にそういうわけでは」
「それに、いつの間に呼び捨てをする仲になったんだ? さすがに妬けるぞ」