Snow Doll ~離れていても君を~

「二人は、如月先輩とはどういう関係なの?」

「ああ……、優希奈さんは、リュウシンと知り合いだったんだっけ」

「リュウシンって、如月先輩のこと?」

「そうだよ。“龍臣(たつおみ)”は呼びにくいから、そう呼んでる」

「私……先輩は真面目ないい人だと思ってたのに」


春馬君は、うつむいた私を見て微かに笑った。


「リュウシンは真面目だよ? 表向きはね」


春馬君と話している間に、目的地に着いたようだった。


海里君がチャコールグレーの色をした十階建てほどのマンションの前で立ち止まる。


「ねぇ、ここは誰かの家なの?」

「俺の家」


海里君が、ボソッと低い声で答えた。


「え!?」

そんなの、聞いてないよ。


「如月さんの命令だから、仕方ないんだよ」


マンションのエントランスへ入っていく彼を見ながら、私は呆然と立ちすくむ。


「だって、ダメでしょそんなの……」
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