Snow Doll ~離れていても君を~
私も階段をおり、遠ざかる小野寺君の背中を見つめていると、それを遮るように背の高い海里が立ち塞がった。
ものすごい冷たい目で見下ろしてくる。
その冷えきった目つきが怖くて首をすくめると、海里は薄い唇を開いた。
「何で一人で外に出た?」
鋭い視線が私の持つコンビニの袋に向けられていたので、外に行ったのがバレバレだった。
「マンションのすぐそばなら大丈夫かと思って」
「さっき、さらわれそうになったばかりだっていうのに、まだわからないのか?」
きつい口調で怒られ、目尻に涙が浮かぶ。
「ごめんなさい……」
「──悪い、言い過ぎた」
涙に気づいたのか、海里は溜め息をついてマンションの階段を上って行く。
「理希と、何で一緒にいた?」
こちらを振り返らないまま、海里が聞く。
理希って小野寺君の名前だった、と思い出す。
「コンビニで偶然会って。マンションまで送ってくれたの。明日、小野寺君達も椿高に行く?」
「理希のことが気になるのか?」
エントランスに入り、部屋の暗証番号を押しながら海里が私を振り向いた。