Snow Doll ~離れていても君を~
「いや。理希は中学のときに市街から転校してきたから。この町の学校ではないと思う」

「そっか……。私とは違う小学校だね。じゃあ、気のせいなのかな」


少し残念に思いながら、私は冷蔵庫からサンマや常備菜を取り出し夕食の支度を続けた。



二人で向かい合って夕食をとるのは久しぶりだった。
ここの所ずっと、ケイか春馬君も一緒にいたから。

私の手料理を、海里は全部残さず綺麗に食べてくれた。


「海里、他に食べたいものある?」


私が聞くと、海里は微かに眉をひそめ考え込んだ。


「カレーと……、カニクリームコロッケとか?」


顔に似合わない可愛らしいメニューが出てきて、思わず吹き出しそうになる。

両手で口元を隠すと、海里がキッと睨んできた。


「市販のしか食べたことないから、手作りのを食べてみたいんだよ」

「わかった。今度頑張って作るね」


手間はかかるけど、海里が喜んでくれるなら作ってあげたい。

< 135 / 268 >

この作品をシェア

pagetop