Snow Doll ~離れていても君を~

密着とまではいかないけれど、彼のすぐそばに接近する形になり。思っていた以上に背が高いことに気がついた。

仄かに香水か何かの香りも漂ってきて、なんだかドキドキする。


「あの……私、本当にここに泊まるの?」


エレベーターが5階に着き、私は長い廊下を見渡し不安げに訊いた。


「行く場所がないんだろ? それとも、自分の家に帰るって言うんなら、帰ったっていいんだけど?」


冷たく突き放すように言う海里。


「……」

今さら、そんなのは無理。あの家にはもう帰れない。


でも、海里は女の子に興味がなさそうなタイプだから、心配しなくていいのかも?

そう思い直し、おとなしく海里の後ろをついていった。




──廊下の左手奥にある一室。

リビングは綺麗に片づけられていて、一人で住むには広すぎるんじゃないのかと思うほどだった。

インテリアは黒やシルバーで揃えられている。



「使ってない部屋があるから、そこ使えよ」


海里は奥の部屋を指差して言った。
< 14 / 268 >

この作品をシェア

pagetop