Snow Doll ~離れていても君を~
密着とまではいかないけれど、彼のすぐそばに接近する形になり。思っていた以上に背が高いことに気がついた。
仄かに香水か何かの香りも漂ってきて、なんだかドキドキする。
「あの……私、本当にここに泊まるの?」
エレベーターが5階に着き、私は長い廊下を見渡し不安げに訊いた。
「行く場所がないんだろ? それとも、自分の家に帰るって言うんなら、帰ったっていいんだけど?」
冷たく突き放すように言う海里。
「……」
今さら、そんなのは無理。あの家にはもう帰れない。
でも、海里は女の子に興味がなさそうなタイプだから、心配しなくていいのかも?
そう思い直し、おとなしく海里の後ろをついていった。
──廊下の左手奥にある一室。
リビングは綺麗に片づけられていて、一人で住むには広すぎるんじゃないのかと思うほどだった。
インテリアは黒やシルバーで揃えられている。
「使ってない部屋があるから、そこ使えよ」
海里は奥の部屋を指差して言った。