Snow Doll ~離れていても君を~
「一人暮らしなの?」
「ああ。最近まで兄貴と一緒に暮らしてたんだけど、出て行ったから」
白っぽい部屋は、ベッドとクローゼットがあるくらいで、本当に誰も使っていないみたいだった。
「これは、着替えとか必要な物を買う金」
部屋に入ってきた海里は、白い封筒を私の手の平に乗せる。
「こんなの、もらえないよ」
中身を確かめた私は、慌てて封筒を突き返そうとする。
けれど海里は受け取らなかった。
「如月さんの厚意だから、気にすんな」
「でも……。先輩の女になったくらいで、どうしてこんなに良くしてくれるの?」
「さあな。如月さんに聞けよ」
そっけなく言い捨て、海里はリビングへ戻ろうとする。
「私、どうしたらいいのかな。如月先輩の“女”って、何するの?」