Snow Doll ~離れていても君を~
実は、一度も男の人と付き合ったことがない私。
もちろん、キスもまだ。
なのに、好きでもない人と突然付き合うことになって、かなり複雑。
宿泊先を用意してくれたのは、本当に有難いことだけど……。
「だったら、俺が教えてやろうか」
「──えっ?」
海里が私のすぐ後ろにある壁に片手をつく。
「如月さんの前で恥かかないように、色々教えといてやるよ」
海里の端正な顔が迫る。
これってよく、少女マンガで見るシチュエーション……?
囲まれる形になって、逃げ場がなくて、何だかドキドキする。
「あ、あの……私……」
綺麗な顔を直視できなくてうつむくと、海里はいつものクールな顔つきで言った。
「冗談だよ、バカ」
「っ。……バカって何よ」
恥ずかしさで頬を熱くした私は、海里を睨み上げる。
そんな視線をものともせず、彼は素知らぬ顔で隣の自室へ入ってしまった。