Snow Doll ~離れていても君を~

「事前に伝えていたとおり、代表の者を一人ずつ選び、一階へ。東階段と西階段に各10人配置させ、代表の者はその10人と戦う。4階まで先に辿り着いた方が勝ち、となる」

「こちらは影島を出すけど、桜花は誰を出す?」


兄がゆったりとした口調で桜花のリーダーである如月先輩へ問いかける。


「海里。お前が行け」

「……はい」


如月先輩の命令に海里は静かにうなずいた。

海里が承諾したのを見て、椿の姫がゆっくりと口角を上げた。上機嫌に目を細める。


「やっと、佐々木冬里の弟の力が見れるのね」


一瞬、海里と目が合うけれど、緊迫した雰囲気がフロアに漂っていて声はかけられなかった。


春馬君や理希達は東階段へ向かい、海里は西階段を下りていく。

それぞれが配置につき、このフロアには私とケイ、如月先輩、椿の姫と兄が残された。


「薫兄さん。どうして? あの人とは仲間じゃないって言ってたのに、嘘だったの? まさか兄さんが、あの人と仲間だったなんて……」

軽く失望し詰め寄ると、寂しげな目をした兄は小さく息をついた。
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