Snow Doll ~離れていても君を~



目を開けると、柔らかなベッドの感触と暖かい空気を感じた。


ここ、どこ……?


ベッドの脇へ目を走らせた私は、ビクッと体を強張らせる。

そこには冷たい瞳で私を見下ろす、背の高い少年がいた。


「……大丈夫か?」


ぶっきらぼうな口調に聞き覚えがあって、よくよく彼を見てみると……


「あれ? 佐々木君?」


私は何度も瞬きをして確かめる。


ノーネクタイの青いシャツを纏った細身の体つき。

襟足長めの艶やかな黒髪と、やや吊り上がった眼は……


どう見ても、同じクラスの佐々木海里(かいり)


狼みたいな近寄りがたい雰囲気で、近くの席なのに全然喋ったことがない。

私の中では、とにかくもの凄く怖いイメージだ。



「なんで私、ここにいるの?」

「覚えてないのかよ」


佐々木君は、目にかかった前髪をうるさそうに指で払い、小さく息を吐き出した。
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