Snow Doll ~離れていても君を~
*
目を開けると、柔らかなベッドの感触と暖かい空気を感じた。
ここ、どこ……?
ベッドの脇へ目を走らせた私は、ビクッと体を強張らせる。
そこには冷たい瞳で私を見下ろす、背の高い少年がいた。
「……大丈夫か?」
ぶっきらぼうな口調に聞き覚えがあって、よくよく彼を見てみると……
「あれ? 佐々木君?」
私は何度も瞬きをして確かめる。
ノーネクタイの青いシャツを纏った細身の体つき。
襟足長めの艶やかな黒髪と、やや吊り上がった眼は……
どう見ても、同じクラスの佐々木海里。
狼みたいな近寄りがたい雰囲気で、近くの席なのに全然喋ったことがない。
私の中では、とにかくもの凄く怖いイメージだ。
「なんで私、ここにいるの?」
「覚えてないのかよ」
佐々木君は、目にかかった前髪をうるさそうに指で払い、小さく息を吐き出した。