Snow Doll ~離れていても君を~
「久しぶりだな、小野寺。仕事を休ませてまで呼び出して悪かった」
父が声をかけ、その男性が振り返る。
「相原……」
彼は薫兄さんにも視線を送ってから、その視線は私へとしばらくとどまっていた。
「夏奈……?」
男性が目を見開き、信じられないというように首を振る。
「いや、夏奈の娘なのか?」
「ああ。夏奈の娘は俺が引き取った」
その男性によく似ていて、小野寺という苗字の人を私は知っている。
小野寺、理希。
「──優希奈。こいつは、優希奈の本当の父親なんだよ」
父が教えてくれた事実は信じ難いものだった。
──私の、本当の父親?
不意に思い出すのは、小さい頃、何度も遊びに来てくれた男の人と。
私と同じくらいの年のヤンチャで可愛い男の子。
イトコか何かだと思っていたけれど。
半分、血が繋がっていたなんて。
理希を見て懐かしいと思ったのは、今目の前にいる本当の父親に似ていたからなんだ。
小さい頃、遊びに来てくれたあの男の人に、理希が似ていたから。