Snow Doll ~離れていても君を~
それなら、どうして私達を捨てたの?
寂しいときに、そばにいてくれなかったの?
その気持ちが大きくなっていく。
「恨んでくれてかまわない。でも……、今でも心の中に夏奈と優希奈がいることは事実だ。理希と同じで、大切な存在なんだ」
そう言い残し、私の本当の父親は私達の前から姿を消した。
ずっと沈黙を守っていた、私の育ての親が口を開く。
「そろそろ自分で自分の居場所を決めてもいい頃かと思って、優希奈の本当の父親と会わせてみたが。──どうする? 本当の父親と暮らしたいというなら、向こうとも話し合ってみるよ」
「……え?」
それは、薫兄さん達の戸籍を抜けて、理希の家族になる選択もあるということ?
「俺は反対だ。優希奈を手離すなんてできない」
私と手を繋いだままの兄が強い眼差しで自分の父親を睨みつけていた。
「私、は……」
すぐその場で答えが出るものではなく、私自身は保留をお願いすることにし、線香に蝋燭の火をつけ母へ手を合わせる。
これからどうすればいいのか……自分の未来が想像もつかず、無意識に心の中で母に相談していた──。